ご家族・ご親族が亡くなられた場合、残された相続人は様々な手続きをする必要があります。
亡くなられた方が不動産をお持ちの場合は、相続登記が必要です。
不動産の相続登記は、いつまでにという期限はありませんが、後々手続きが煩雑になったり、トラブルのもとになる可能性がありますので、早めの手続きをお勧めします。
1.相続財産の把握
法務局での物件調査等で相続財産を確定させ、資産明細一覧表を作成し、現状を把握します。
相続財産は、不動産や預貯金、株券などのプラス財産だけに限らず、住宅ローンなどのマイナスの財産も受け継がなければなりません。預貯金や不動産だけを継承したいという気持ちも分かりますが、そういうわけにはいかないのです。
場合によっては想定外の借金を背負うという事態にもなりかねません。そのようなことにならないために、遺産を受け取るか放棄するかを自由に選択することができます。
2.遺言書の確認
遺言書の有無を確認しましょう。遺言書の内容は、法定相続よりも優先されるからです。
遺言書があるのとないとでは、以後の手続が大きく変わってきます。
遺言書の種類
- 公正証書遺言・秘密証書遺言
- これらの遺言については、平成元年以降に作成されたものについては、日本公証人連合会の遺言書検索システムで存否を検索することが可能です。遺言書検索の依頼は、全国各地のどの公証役場でも可能であり、遺言者が作成した公証役場に限定されるわけではありませんので、最寄りの公証役場で検索可能です。
<公証役場一覧> http://www.koshonin.gr.jp/sho.html - 自筆証書遺言
- 自筆証書遺言が見つかった場合、速やかに家庭裁判所に提出し、遺言書の検認を請求しなければなりません。遺言書の検認とは、裁判所が遺言書の存在や内容を確認し、間違いなく被相続人が作成した遺言書であることと、偽造や変造を防いで保存を確実にするために行います。勝手に遺言書の開封をしたり、遺言書の提出を怠ったり、検認を経ずに遺言を執行した場合、5万円以下の過料に処せられるのでご注意下さい。
3.法定相続人の確認
戸籍関係の書類を取得し、相続人の調査・確定作業をいたします。戸籍謄本等を市区町村の役所から取得します。
「相続人が誰なのか」を調査する作業は意外に難しく、時間と労力が必要になる場合もあります。途中で戸籍の収集が困難になった事例も多々ありますので、必要に応じてアドバイスさせていただきます。
なお、当事務所ではご依頼者様のご負担を軽減するため、印鑑証明書以外の必要書類をお取り寄せ致しますので、遠慮なくご相談下さい。
法定相続人
相続人 | 順位 | 法定相続分 |
---|---|---|
子・配偶者 | 1 | 子(全員で)2分の1、配偶者2分の1 |
直系尊属・配偶者 | 2 | 直系尊属(全員で)3分の1、配偶者3分の1 |
兄弟姉妹・配偶者 | 3 | 兄弟姉妹(全員で)4分の1、配偶者4分の3 |
- ※配偶者は常に相続人となり、他の相続人と同順位となります。
- ※兄弟姉妹の代襲相続人は甥・姪までとなります。
4.相続の放棄、承認または限定承認の選択
相続人および相続財産の調査及び評価が終わったら、プラス財産・マイナス財産を受け継ぐかどうかを判断しましょう。
ここまでの調査で不動産や預貯金、株券などのプラス財産より住宅ローン等、マイナスの財産の方が多いと判断された場合にはどうなるでしょうか?
すべてを相続しなければならないとなると、自分で作ってもいない借金や認識していない借金を継承したことで返済していかなければならなくなり、とても酷な結果になってしまいます。そこで認められた制度が限定承認や相続放棄です。
この2つの方法は、原則として相続人が相続の発生を知ってから3ヶ月以内にしなくてなりませんので、すぐに家庭裁判所で手続きを始めましょう。
限定承認・相続放棄
- 限定承認
- プラス財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ方法です。
相続で得た資産の範囲内で借金を返済することとなるため、プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いのか精算してみないとわからないという場合に選択されるのが一般的です。 - 相続放棄
- プラス財産もマイナス財産もすべて放棄し、一切の財産を相続しないという手続きです。
放棄の手続きを行いますと後で取り消すことはできなくなりますので、慎重に判断しなければなりません。もし、財産の調査および評価に時間がかかるようであれば家庭裁判所に3ヶ月の期間の延長を請求することもできます。
放棄をした人は、最初から相続人ではなかったことになります。
5.法定相続、遺産分割による相続
遺産を相続することが決まったら、今後はその遺産をどのように分けるかを決めましょう。何人もの相続人がいる場合、「誰が、どの財産を、どの割合で」取得するかが問題になってきます。遺言があれば、それに従って遺産を分割するのが原則ですが、遺言のない場合、相続人全員で遺産の分配方法を決めるために遺産分割協議を行います。未成年者がいる場合には特別代理人を選任し、行方不明者がいる場合には、財産管理人を選任します。遺産分割協議は、相続人が1人でも欠けると無効になります。
成立した遺産分割協議どおりに遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・押印します。法定相続による登記なのか、遺産分割協議による登記なのか、遺言による登記なのかによって必要になる書類が異なります。
※不動産以外の財産(預金、有価証券など)の相続手続きについては、各金融機関、証券会社の相続専門コールセンターや担当窓口にお問い合わせ下さい。
6.相続登記
相続登記に必要なすべての書類を整えて、相続登記を管轄法務局に申請します。
登記手続きが完了しますと登記識別情報通知[権利証]が交付され、新しい所有者が確定します。